持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)とは、 2015年9月の国連サミットで全会一致で採択された、地球規模で「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現のために2030年を年限とする17の国際目標です。この17の国際目標(ゴール)を達成するために169のターゲットが設定され、地球全体で達成していくことが期待されています。
“緑あふれるクリーンな日常を世界に” を目指して
当社では、グローバル・レポーティング・イニシアティブ(GRI)、国連グローバル・コンパクト(UNGC)、持続可能な発展のための世界経済人会議(WBCSD)によって策定されたSDGsの企業行動指針である「SDG Compass」などを参考に、以下のプロセスを経て、どのようにSDGsと向き合っていくべきなのかを検討しました。
STEP 1SDGsを理解する
SDGsに関する勉強会や経済・環境・社会のつながりという全体像をより把握することで、SDGsの理解を深めることを目的に「SDGsカードゲームセミナー」を実施しました。この活動を通じて、社内でSDGs浸透を図りました。
自社内でのSDGs勉強会の様子
SDGsカードゲームで理解を深める
STEP 2取り組むべき優先課題を決定する
現在実施している自社事業活動が正の影響を最大化できかつ負の影響を最小化できるかについて見直しを行い、さらに当社統合マネジメントシステム委員会で協議を重ね重点課題と重点アプローチを策定しました。
STEP 3自社の目標を設定する
統合マネジメントシステム委員会での検討結果
世の中が解決を求めている社会課題と当社の目指すべき目標(ムーンショット)が整合的であるのか、即ち当社の社会的意義について深く考えました。その結果、当社のビジョンである「緑あふれるクリーンな日常を世界に」実現を目指すべき目標として捉え、それに向けたプロジェクトの実施を積み重ねていくことによって、目標達成に努めていきます。
STEP 4自社の経営に組み込む
自社の経営における主なSDGs実装の取り組み
当社は循環型社会を廃棄物の中間処理業者として推進していくべく、リサイクル率を向上させるために破砕選別施設、焼却・乾燥施設、固形燃料RPF施設、銅ナゲット製造機、蛍光灯管再生プラント等を導入し、多品種・小ロットの廃棄物も積極的にリサイクルすることで廃棄物処理のワンストップサービスを行っています。当社へ持ち込まれた混合廃棄物のうちRPF原料にできるものについては粗選別して単品化して分別しています。
その後、破砕機を用いて破砕し、さらに手選別します。一方で塩素分含有の廃プラスチック類は手選別することが難しいため、特殊な光学選別機により塩素含有のプラスチック類を選別し、塩素分非含有の廃プラスチックを最大限に取り出しRPF原料として再利用しています。木くずは木専用のラインで破砕し、スクリーンによって、適切な大きさにして製紙用チップ・燃料用チップとして再利用されます。また、有害廃棄物、感染性廃棄物は焼却炉で焼却して無害化及びサーマルリサイクルを行っています。燃え殻はコンクリートの原料にすることでリサイクル率を向上しています。焼却炉は無害化のみならず、廃棄物の減量化にも効果があり、最終処分場の残余年数の延命に貢献しています。このように当社では、回収した廃棄物に対して手間をかけて分別することによって高いリサイクル率を実現しています。
リサイクル率向上の一翼を担う当社プラント
RPFによる二酸化炭素削減プロジェクト
RPFは、石炭(例. 輸入一般炭)に対して燃焼時に同一熱量回収を行う過程で、石炭よりも約33%のCO2排出量低減効果のある燃料です。当社はRPF事業を推進しており、CO2排出の低減と枯渇性資源の節減、埋立て処分場の延命などの相乗効果に貢献しています。
RE100の挑戦
当社は、事業活動に用いる電力を自然エネルギーを活用した電力へとシフトし、2019年時点で自社による電力使用の再生可能エネルギー約80%を達成しています。 5年未満に再エネ100%を達成していく方針です。
再エネ化普及プロジェクト(国内)
脱炭素を推進するために、環境に優しい再生可能エネルギー事業を展開しています。松阪エネルギーファーム(三重県松阪市)に太陽光発電、度島エネルギーファーム(長崎県平戸市度島)に太陽光発電と風力発電設備を導入し、クリーンエネルギーの普及に努めています。本事業にとどまらず海外での再生可能エネルギー普及プロジェクトを推進しています。
再エネ化普及プロジェクト(海外)
執行団体の公益財団法人地球環境センター令和2年度二国間クレジット制度資金支援事業のうち設備補助事業の採択を受けて、ラオスで再生可能エネルギー事業を実施しています。本事業を通じて、ラオス国内の電力供給の安定化と、再生可能エネルギー由来の電力によるグリッド電力代替を通じた同国の温室効果ガス(GHG)排出量の削減に貢献していきます。本事業にとどまらず海外での再生可能エネルギー普及プロジェクトを推進しています。
(案件概要:http://gec.jp/jcm/jp/projects/20pro_lao_01/)
地球にやさしい選択
「脱炭素化」が加速している中サプライチェーン排出量(事業者⾃らの排出だけでなく、事業活動に関係するあらゆる排出を合計した排出量)の削減が求められています。当社は「中小企業等向けSBT・再エネ100%目標設定支援事業」に参加し、まずは自社の各スコープの二酸化炭素排出量を可視化して優先課題として取り上げ、目標設定を策定した後、取り組みを強化しています。具体的には2021年に稼働予定である焼却炉の燃料について、重油から都市ガスにすることでより二酸化炭素の排出係数が低い燃料を採用します。またグリーン購入を積極的に推進していきます。
(中小企業向けSBT・再エネ100%目標設定成果報告: https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/case_smpl_chusho.html)
SDGs普及プロジェクト
経済団体、民間企業、老若男女に対してSDGsセミナーを開催し、普及啓発活動を行っています。人と社会の持続可能性について考える機会を創出し、世界の現状を知り、何ができるのかを一緒に考えるきっかけ作りをお手伝いしています。また、様々なステークホルダーに対してセミナーや意見交換会を通じてSDGsコミュニケーションを積極的に図っていきます。
様々なステークホルダーに対してセミナーを実施しています。また、SDGs実装支援についても積極的に実施しています。
kayamaとともに100年先も続く未来を一緒に考えるプロジェクト
ESDとは地球に存在する命ある生物が、遠い未来までその営みを続けていくために、これらの課題を自らの問題として捉え、一人ひとりが自分にできることを考え、実践していくことを身につけ、課題解決につながる価値観や行動を生み出し、持続可能な社会を創造していくことを目指す学習や活動です。当社では、小学生を中心に様々なESD教育を実施しています。この活動を通じて、一人でも多く持続可能な社会づくりの担い手として育むことに貢献しています。さらに個社の取り組みだけにとどまらず、行政・団体・企業との連携を強化することでより多くの学習機会を提供していきます。
海外展開プロジェクト
日本が戦後経済成長を遂げていった過程の中で発生した「環境問題」。今、経済発展を遂げていこうとしている発展途上国においても同様の課題がそこには発生していました。いかに負の外部性を最小化するのか、日本を超えて海外でも挑戦が始まりました。
年度 | 官民スキーム | 案件名 |
---|---|---|
2016 | 案件化調査(JICA) | ビエンチャン市における医療廃棄物を中心とした有害廃棄物処理・管理改善に向けた案件化調査 |
2017 | 普及・実証・ビジネス化事業(JICA) | ビエンチャン市における医療廃棄物を含む有害廃棄物処理・管理改善に向けた普及・実証事業 |
2019 | インフラシステム輸出に向けた案件具体化事業(JETRO) |
ラオス国向けワンストップ型医療廃棄物・有害廃棄物の適正処理及び工程運営手法輸出に向けた案件具体化事業 |
2020 | 「令和2年度から令和4年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(二国間クレジット制度資金支援事業のうち設備補助事業)」(GEC) | ビエンチャン県及びボリカムサイ県における14MW太陽光発電プロジェクト |
JICA=独立行政法人日本国際協力機構 / JETRO=日本貿易振興機構 / GEC=公益財団法人地球環境センター
ラオスのこれまでの取組
2016 / 2017
JICA民間連携による廃棄物処理事業の案件化調査を実施。
医療系廃棄物における分別の課題や医療・有害廃棄物の適正処理が確立されていない課題を確認。
2018
案件化調査で整理した課題を勘案し、当社の技術やビジネスモデルの検証を実施するために、JICA民間連携の普及・実証ビジネス化事業を実施。
2019
廃棄物処理事業の確度を高めるために、インフラシステム輸出に向けた案件具体化を活用して更なる調査を予定。
※コロナによる規制が緩和され次第開始
2021
ラオス拠点設立
廃棄物処理事業のみならず環境ソリューション事業の一環として、二国間クレジット制度資金支援事業のうち設備補助事業を活用し、ビエンチャン県及びボリカムサイ県における14MW太陽光発電事業を実施中。
元気な自然を創るプロジェクト
当社は、愛知県産業廃棄物協会の東三河支部に所属しており、これまで10数年にわたって団体がイニシアティブを取って活動してきた不法投棄の撤去等について協力し、東三河地域の美化活動に積極的に努めてきました。また、毎年豊橋市が実施している「ゴミ0運動」についても積極的に協力しており、河川に漂うごみを回収する等の美化活動も推進しています。また、東海豪雨による被害を受けた西枇杷島周辺の瓦礫等の撤去作業、東日本大震災の瓦礫撤去についても積極的な協力を実施してきました。今後もより美しい社会に向けて美化活動を積極的に取り組んでいきます。
災害時の『不便』を『便利』に変えるプロジェクト/みんなで防災対策を考えるプロジェクト
『不便』『不満』といった「不」を取り除き、【便利】【満足】に変えていくことを最大の使命と認識し、万が一の災害があった時でも地域住民の安心・安全確保に努めることを最優先としています。具体的な取り組みとして、当社事業所を災害時の避難所として活用できるように整備しました。また、防災対策に関するセミナーを定期的に開催し、参加者の方々との意見交換も積極的に行うことによって、強靭な社会構築を推進しています。
文化・スポーツ振興プロジェクト
文化やスポーツ振興は、人と人が繋がり、心身ともに健康な状態を促進していくことが期待されることから、SDGsと密接な関係にあると当社は考えています。文化やスポーツを頑張る団体や人に対して応援することで、『国民が生涯にわたり心身ともに健康で文化的な生活を営む』ことができる社会の実現に貢献します。今後も文化・スポーツのより一層の発展を期待して、当社はおうえんをつづけていきます。
よりよい未来に挑戦する人を応援するプロジェクト
将来を担う大学生や高校生を対象に環境ソリューションの見識を深めてもらうためにインターンシップを受け入れています。国の施策から環境課題について具体的にどのような解決方法があるのかについて深く学習する機会を提供しています。さらに、国づくりの担い手となる開発途上国の人材として研修に来られたJICA様の研修員の皆さまや同じく留学生としてこられた皆さまに対して、少しでも自国でより良い社会を実現するための参考になればと思い工場見学の受入、セミナー、インターンシップの受入を実施しています。これらを通じた次世代育成を今後も継続して推進していきます。
バイオトイレプロジェクト
当社は、新社屋において膜分離活性汚泥法による浸透膜とバクテリアの力を活用した、有機排水を100%再生利用した環境にやさしいバイオトイレを導入しました。下水道につなぐ必要がなく、下水処理場の負荷低減に貢献。直近の実績(2019年12月~2020年12月)では、112.093㎥の水のリサイクルを実現しました。また、オフグリッド電源であるため、災害時にも使用することが可能です。これにより、水資源の再生による枯渇抑止及び災害対策に貢献していきます。
ミツバチプロジェクト
ミツバチは約半径3kmの花や樹木にかなり影響される繊細な生物です。仮に環境に負荷がかかっている場合、ミツバチは生きることができる環境とみなさず活動しません。
当社は周辺に対して環境負荷がかかっているかどうかモニタリング機能を果たしてくれるミツバチを自社の敷地内で育てることで、当社の経済活動が負の影響を及ぼすことのないように運営できている点を証明し、環境保全を推進しています。
緑溢れる社会づくりプロジェクト
ミツバチプロジェクトで採れた蜂蜜は、採取活動や容器製造にともなうCO2排出量をゼロにしてカーボン・オフセットしています。このオフセットの仕組みを通して蜂蜜の販売価格の一部を地域の森林保全に寄付することで、地域の森林保全と温暖化対策に貢献しています。
社員の健康マネジメントの確立で安心環境づくりプロジェクト
SDGsの目標を達成するにあたって共に働く従業員は、ビジョンの実現に向けて共に挑む同士であり、最も大切な財産であり、共に成長するパートナーです。働く環境において従業員の健康と安全が第一であるとし、定期的なメディカルチェックを全従業員に実施し、産業医によるメンタルヘルスや生活習慣改善指導等を実施しています。
社員教育の拡充と徹底プロジェクト
従業員が多様な業務に対して柔軟かつ効率的に従事することができるように、技能講習を積極的に推進し、個々の能力向上を支援し、ひいてはお客様へのサービス提供の向上に努めています。
スタンドバイミープロジェクト
SDGsを推進するにあたり従業員の挑戦や困難を見守るプロジェクトを通じて、特に育児や介護のために離職せざるを得ない状況を最小化し、多くの人財が末永く活躍できることを実現するため、多様な働き方ができる雇用形態を推進しています。さらに、多様性のある働き方を取り入れ、「テレワーク」をさらに拡大し、「勤務間インターバル制度」や「フレックス制度」等、新たな働き方を推進しています。
業務上労働安全衛生、重大事故・災害ゼロ活動
安全衛生教育の一環として労災事故防止にかかる方法を全社員が考えるための機会を積極的に創出しています。製造現場、施工現場においてはリスクアセスメント・安全パトロール等を通じて事故や災害が起こらないようにする対策をとるだけでなく、災害が発生したときに被害を最小化させるために対応すべき対策についても定期的に訓練や実技等を実施し、労働安全衛生向上に努めています。
ステークホルダーの働きやすさサポート
介護老人保健施設や介護老人福祉施設では、施設入居者様や施設入居者様を支える介護職員双方にとって負担軽減がなされるようにベッドから車椅子、車椅子からお手洗いといった座位間の移乗動作や、脱衣場での立位保持をサポートするロボットの提案をさせていただいております。これにより、介護施設様の働き方改革推進のお手伝いもさせていただいています。ステークホルダーに対して今後更なる働きやすさを支援できるようなサービスを構築していきます。
反社会的勢力との関係排除/公正妥当な会計の遵守/情報セキュリティへの対応
順守義務(法的及びその他の利害関係者の要求事項)マネジメントシステムの強化・確立
コーポレートガバナンスの強化
当社では、「ステークホルダーから必要とされ続ける企業」であることを目指し、経営の公正性・透明性の確保及び企業価値の向上のために、企業行動規範に則り、説明責任を最重視した取締役会の意思決定、統合マネジメントシステム委員会のモニタリングを通じてコーポレート・ガバナンスの充実を図ることとしています。
その上で、顧客の信頼に応えるためにコンプライアンスや環境基準に遵守することを約束しています。特に安全性は対外的に必ず報告を怠ることなく、例えば焼却炉を稼働させた時の排ガス測定結果、溶出試験結果、安全に対する取り組みについてCSR報告書で公開しています。さらに当社は環境配慮型経営に重点を置いており、二酸化炭素(以下CO2)排出量の見える化、再生可能エネルギー利用率の見える化に積極的に取り組んでいます。
マネジメントシステムにおいては、廃棄物処理及びリサイクル業務において、ISO14001の規格に基づく環境マネジメントシステム及びISO45001の規格に基づく労働安全衛生マネジメントシステムを従業員全員が構築運用し、継続的に改善するとともに労働安全衛生におけるパフォーマンスシステムを継続的に改善していきます。これら、マネジメントシステムは、毎年外部機関からの外部評価を得て認証の維持に努めています。
STEP 5報告とコミュニケーションを行う
メディア・表彰関連
様々なSDGsに資する取り組みを通じて、関係各所から評価をいただきました。
さらに、2005年愛知万博の開催に合わせて、省資源や省エネルギー、リサイクルなどに関する優れた技術や活動などを表彰することで、資源循環型社会の形成を促進するとともに、広く全国に向けて、愛知の環境技術や環境活動のレベルの高さを発信する目的で愛知県が創設した「愛知環境賞」において、「銀賞」を受賞しました。
高いリサイクル技術による廃棄物の中間処理事業を軸として、再生可能エネルギーの導入や地域の子どもたちへの環境教育に取り組むなど、環境に配慮した企業経営を業界に先駆けて推進している点において環境負荷の低減と循環型社会の形成に大きく貢献するものであるとして高く評価いただきました。
2030年ひいては将来にわたって持続可能な社会を実現するために、毎年当社のSDGsの取り組み状況をモニタリングし、KPIを用いてマテリアリティに対する取り組みの進捗状況を確認するとともに、社内外のステークホルダーとの対話を推進していきます。
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